社内の教育コンテンツを有志で作り直す機会があり、数字の扱い方をどのように標準化するか、という話題になりました。
弊社が長らくやってきている事業が、ECを主とした成功報酬型の投資 兼 ハンズオン事業。
コンセプトの型やキャッチコピーの言葉ひとつで売上が何倍・何十倍と変わる世界でもあるため、所謂クリエイティブの側面が強く、そういった志向の強い人が多く入ってくるので、数字に強い人ってむしろ珍しいんですよね。逆に苦手意識がある人が少なくないというか。
立ち上げ案件は特に、クリエイティブの力で売上が作れるならば、せいぜい売上、アクセス、転換、あとは広告の費用対効果や事業単体での損益を追うレベルで、込み入った財務諸表を読み解く必要もないわけです。
逆に再生案件になれば必然的にキャッシュフローやB/Sとにらめっこしまくりで。そこは適材適所で回っている部分でもあります。
そうした中でKPI管理、つまりは定点観測する数字を決めること自体は特別難しくないわけではありますが、いざその数字を使って問いや仮説を立て、その検証を行うところで、数字の料理の仕方が人によって異なってくるわけです。
数字の扱いを学ぶにしても、苦手意識のある人が統計学を網羅的にやっていくのも中々の苦行です。
過去に読んだ書籍の中には、もう少しカジュアルな、統計学最強!みたいな本も色々とありますが、結局は数字が好きな人向けの内容な印象もあり、ピンと来るものも思いつかず。
イメージとしては、最近のExcel本のトレンドに見られるような、「関数や便利機能に頼るよりもまず、きれいな表を作れればExcelが楽しくなってきて自然に関数も学習していくようになる」的なコンテンツが良いなぁと思い立ち、それっぽい書籍を改めて漁ってみることに。
やはりここはマンガかと、「統計学 マンガ」でAmazonで調べたら33件もヒット。ニーズの大きさがうかがえますね。
一応、メジャーそうなこちらを読んでみました。
統計学の入門としては良いんだけど、やっぱりまだ網羅的というか、もうちょっとビジネスに寄ったものが欲しいなぁという結論に。
あれなんですよね、統計学ってわりかし、n数(データのサンプル数)がある程度揃っている前提じゃないですか。
中長期のレポートまとめて計画作るとか、ビッグデータをサイエンスして、みたいな場では大いに有効だと思うんですけど、Web全般ほとんどのいわゆる水物なビジネスにおいては、n数が揃わない中での分析そして意思決定、という話になるわけです。
いかに確からしさを高めながらデータを読むか、というゲーム。
ポイントになりそうなものを粒度を気にせずにざっくばらんにいくつか挙げてみると、こんな感じ。
- 平均は外れ値(異常値)に弱い。むしろトレンドを見ながらどうポジションとるかというのは、株のチャート分析に近い
- 中期でトレンド見るなら移動平均はアリ(これもチャートと言えばチャートですね)
- パーセント同士で平均すな(初歩の初歩だけど意外に…)
- 因果関係と相関関係は混同すな
- n値は常に不足状態で結局は決めの問題。そんな時でも仮説検証は成功 or 継続ライン、撤退ライン、期間をセットで
などなど。この辺のケーススタディをパパっと作るか拾ってこようかなーという今のところの結論です。
もちろん、こういった数字を扱うポイントを押さえたところで、決めの問題である以上は、理屈だけでは人は動かないんですけどね。
それでも理屈を軽んじる様な組織では、組織そのものが成立し得ないことにもなりかねないわけで、数字によって説得力や信用をある程度補完出来るのであれば、人事を尽くそうという話です。
最後に、2年ぐらい前に川北秀人さんの講演で感銘を受けたフレーズを一つ紹介して、筆を置きたいと思います。
「しらべる」とは、「かぞえる・くらべる・たずねる」である、と。
文字で見るとシンプルでなんとも普遍チックですが、この当たり前を漏れなく当たり前にやることがけっこう難しい。数字の扱い然り、分析のプロセスに抜けが無いかを冷静に見つめ直させてくれるフレーズであります。
川北さんのお話には、これほどまでに平易な形で咀嚼出来るのかと、目から鱗だったお話がいくつもありました。
上記の「しらべる」の話も含めたエッセンスが凝縮された読み応えのある冊子でしたので一応、こちらも。
本日の現場からは以上です!